【今週のおすすめ】世にも珍しい【たった今の日本を描いた】禁断の政治サスペンスついに公開!原案「望月衣塑子」エッセンスはどこに入ってるか? #リアリスティックムービーの世界 

シム・ウンギョン×松坂桃李『新聞記者』
世にも珍しい【たった今の日本を描いた】禁断の政治サスペンス!
SNS時代の報道メディアの役割とは?
原案「望月衣塑子」エッセンスはどこに入ってるか?

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2019年、時代の大きなうねりの中で、人々は情報をどのように得て行けばいいのか?SNS時代を迎えて、マスコミはどのようにその存在を示して行けるのか?

 本作は一人の新聞記者の姿を通して、報道メディアは権力にどう対峙するのかを問いかける衝撃作。東京新聞社会部記者・望月衣塑子氏の著書『新聞記者』を“原案”に、政権がひた隠そうとする権力の闇に迫ろうとする女性記者と、理想に燃え公務員の道を選んだある若手エリート官僚との対峙・葛藤を描いたオリジナルストーリーだ。

主演は『サニー 永遠の仲間たち』や『怪しい彼女』など抜群の演技力で知られる韓国の若手トップ女優シム・ウンギョンと、『娼年』『孤狼の血』など人気実力ともに日本映画トップを走る俳優松坂桃李。これは言っておかなければいけないが、シム・ウンギョンの演じる女性記者・吉岡は、望月衣塑子ではない。あくまでも話の着想を望月氏の著書から得たということのようだ。

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映画は日本映画には珍しい政治もの。『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』や『スポットライト 世紀のスクープ』のような雰囲気を漂わす洋画的な硬質なサスペンスだが、この映画にはさらに新しいところがある。

一つ目は、映画はフィクションだが【今現在の日本に起こっている問題】を投影しているということ(明らかに森友加計問題や伊藤詩織さん事件、前川元文部科学省事務次官のスキャンダルを描いている)。過去の政治問題を扱った映画はこれまでもあったが、たった今の問題を扱った映画はない。「良く映画化できたな」と映画・マスコミ関係者が驚く所以である。

 もうひとつは、原案の望月氏、前川喜平氏、NYタイムズ元東京支局長マーティン・ファクラー氏、元朝日新聞政治部記者の南彰氏などのトークセッションが、WEB番組のカタチを借りて劇中に数回はいってくること。これは映画のシーンと微妙にリンクしつつ、現実の問題について話しおり、ストーリーの進行とパラレルに映画の主題が掘り下げられていくという凝ったつくりになっている。

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 さらにいうと(ここからが大事だが・・)この映画は、このSNS時代を生きる【たった今の】そしてこれからの記者の姿を端的に表現しているはじめての映画といえるんじゃないか?

 シム・ウンギョン演じる主人公の吉岡は新聞紙をつくるための仕事を昼はしているが、夜はSNSで自らの意見を投稿している。さらに少しKYな部分があり、他のマスコミと全く違う動きをしてしまったり、異常な取材対象への突進力もあるため、会社の首脳部からは警戒されている。このあたりはもしかしたら望月氏に似ているのかもしれない。

 望月氏も東京新聞を作るだけの存在ではない。SNSで自らの言論空間をもっているし、講演会などにも積極的に参加している。もちろん一番強烈なのは菅官房長官との記者会見バトルである。もはやプロレスの領域に達している感もある。

 これをして「ジャーナリストとして不真面目」「不勉強・記者の仕事をせえ」と、官邸記者クラブの模様を横で見ている政治部の記者たちは望月氏を非難するが、果たしてどちらがジャーナリストとして不真面目だろか?官房長官にゴマをすって情報をもらうことがどれほど素晴らしいことだというのか?

 SNSの登場によって、政治家は直接国民に語りかけることができるようになり、もはやマスコミの助けを借りなくても、権力者は自らをアピールできる時代になった。「もちつ・もたれつ」の関係が崩れた中で、マスコミにとって必要なのは、官房長官などの取材対象にもっとお願いして、頭を下げて情報をもらうことではなく、「ジャーナリズム」という言葉に代表される権力と距離を置いた権力の番犬としての役割。そもそもの報道メディアの役割であろう。

 望月氏の言っていることは賛否両論・不勉強、軽率な部分もあるように思うが、こと政治権力に対する報道メディアの姿勢という意味では、今の「政治部記者が官房長官にお願いして、明日の朝刊のネタをもらっているような」いびつな状況に対して警鐘を鳴らすために圧倒的に必要な存在で、報道メディア・特にその雄たる新聞記者のこれからの姿を指し示す試金石になりうると思う。もちろん新聞記者が「国民の代表」かどうかは読者が決める事ではあるが。。

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と、そのようなことを考えながら、みているとやはりこの映画「新聞記者」は望月衣塑子エッセンスから生まれた映画だなと思う。だからこの映画は安倍政権に対して刃を突きつけたように見せかけて、一方で「ジャーナリズムの役割を果たさない事なかれの」テレビや新聞、既存の報道メディアにもその切っ先は向いている作品なのだ。

 フェイクニュースが社会を揺さぶり、報道の価値が厳しく問われる現代。これは「たった今。」リアルに人びとに襲いかかる、さまざまな社会問題にダイレクトにリンクする、今までの日本映画になかった全く新しい社会派エンタテインメントだといえる。

STORY】
東都新聞記者・吉岡シム・ウンギのもとに大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届いた日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ちある思いを秘めて日本の新聞社で働いている彼女は真相を究明すべく調査をはじめる一方内閣情報調査室官僚・杉原松坂桃李は葛藤していた国民に尽くすという信念とは裏腹に与えられた任務は現政権に不都合なニスのコントロ愛する妻の出産が迫たある日彼は久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するのだがその数日後神崎はビルの屋上から身を投げてしまう真実に迫ろうともがく若き新聞記者の存在に気付き選択を迫られるエリト官僚二人の人生が交差するとき衝撃の事実が明らかになる!

【スタッフ】
監督:藤井道人 脚本:詩森ろば、高石明彦 製作:VAP、スターサンズ
出演:松坂桃李、シム・ウンギョン、本田翼、岡山天音 ほか
配給:スターサンズ/イオンエンターテイメント 宣伝:KICCORIT 
2019年/日本/カラー/デジタル/日本語/113分/
(C)2019「新聞記者」フィルムパートナーズ
 
http://shimbunkisha.jp
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