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『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』この傑作を前にして、死んでいるヒマなどない。

◆公開中の注目作 
『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

さあ、ひとりの偉大な男に別れを告げよう。その名はクレイグ。ダニエル・クレイグ。もちろん彼自身にではない。15年もの間演じ続けてきたジェームズ・ボンドとしてのダニエル・クレイグにだ。

前任者がハンサムのピアース・ブロスナンだったこともあり、強面のダニエルは作品公開前から「ボンドらしくない」と叩かれた。しかしダニエル・ボンド1作目の『007 カジノ・ロワイヤル』公開後、評価は一変した。ダニエル・ボンド5作目、シリーズ通算25作目となる本作は、『カジノ・ロワイヤル』でボンドが深く愛した女性ヴェスパーが眠るイタリアのマテーラから始まる。ボンドにはマドレーヌという新たな恋人ができたが、過去は忘れられていない。今回の悪役は2人に因縁がある男、サフィン。物静かだが最もボンドを苦しめる凶悪な敵だ。過去の方もまた、ボンドたちを忘れてはいなかったのだ。

レア・セドゥ演じるマドレーヌは、前作『007 スペクター』から引き続きの登場だ。ボンドウーマン(本作ではボンドガールをこう呼ぶ)の続投はユーニス・ゲイソンに続いてこれが二度目。マドレーヌは犯罪組織スペクター幹部の娘で、最後の恋人としては申し分ない。しかし、ジェームズ・ボンドとのロマンスは成就しないもの。ヴェスパーしかり、『女王陛下の007』ではこれ以上ない悲劇に終わる。今回は果たして…? 新たなボンドウーマンは、アナ・デ・アルマス演じるパロマとラシャーナ・リンチ演じるノーミだ。パロマは強い上、確実にシリーズ史上最高にチャーミングな女性で、ノーミは黒人で女性ながら007と呼ばれている(本作のダニエルは第一線を退いているので、ジェームズ・ボンドではあっても007ではない)。まさに、ガールでなくウーマンと呼ぶべきキャラクターになっているのだ。

監督は日系アメリカ人のキャリー・ジョージ・フクナガ。そのため、劇中には能面や枯山水などの日本要素が散りばめられている(土下座まで!)。「次のボンドをやるべき」とまで言われている彼がこんなにサスペンスフルで、ロマンティックで、美しいアクションシーンたっぷりの傑作で有終の美を飾ってくれたのには、日本人には特別の感慨があろう。ちなみにダニエルは6番目のボンドで、次は正真正銘“007”番目のボンドになる。誰が起用されるかは気になるが…、本作はシリーズ最長の163分だが、ダニエル・ボンドとの別れを惜しむ時間としてはあまりにも短い。じっくり堪能してほしい。

【あらすじ】
ボンドは現役を退きジャマイカで穏やかな生活を満喫していた。しかし、CIA出身の旧友フェリックス・ライターが助けを求めてきたことで平穏な生活は突如終わってしまう。 誘拐された科学者を救出するという任務は、想像を遥かに超えた危険なものとなり、やがて、凶悪な最新技術を備えた謎の黒幕を追うことになる。

【キャスト】
ダニエル・クレイグ、ラミ・マレック、レア・セドゥ、ラシャーナ・リンチ、アナ・デ・アルマス、ベン・ウィショー、ジェフリー・ライト、ナオミ・ハリス、レイフ・ファインズ

【スタッフ】
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
製作:バーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
脚本:ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、スコット・バーンズ、キャリー・ジョージ・フクナガ、フィービー・ウォーラー=ブリッジ

公式サイト:https://www.007.com/no-time-to-die-jp/

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