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『フリー・ガイ』今度のライアン・レイノルズは現代のソクラテスなのかもしれない。

◆公開中の注目作 
『フリー・ガイ』

 

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

 

最もノリにノッているハリウッド・スター、ライアン・レイノルズの当たり役がまた一つ誕生した。といっても、新キャラのガイはライアン最大の当たり役デッドプールのような特殊能力など何もない、ただの人だ。『Mr. ノーバディ』に改題した方が良い気もするほど、本当に本当に平凡な男だ。オンラインゲーム内のモブキャラに過ぎないことを除けば!

このゲームの世界は、あらゆる犯罪を行える実在のゲーム『グランド・セフト・オート』を参考に作られた。それゆえ、爆発や事故など“よくある”トラブルから、通り魔的に道行く男性の股間が蹴り上げられるような“凶悪”な事件までが、毎日どころか毎秒そこら中で起こっている。ガイは銀行員のため、日々銀行強盗との戦いだ。いや言い過ぎた。「大人しくしろ」と言われた通り何もせず、強盗を気持ち良く見送るのが仕事、日々のルーティーンなのだ。そんな日常が、謎の女性キャラ“モロトフ・ガール”と出会って一変していく。

“モロトフ・ガール”としてゲームに参加するミリーを演じたのは、イギリス人女優のジョディ・カマー。ドラマ『キリング・イヴ/Killing Eve』で何か国語も使いこなすサイコパス暗殺者を演じて高く評価されているが、映画出演はこれが3本目なので日本ではまだ無名だろう(実は『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』で主人公レイの母親を演じたが、出番は一瞬だった)。しかし本作に加え、10月公開予定のリドリー・スコット監督作『最後の決闘裁判』でも重要な役で出演しているので、今年はジョディ・イヤーになりそうだ。

ゲームの話に見せかけて、本作はやはり人生をテーマにしている。その気になれば悪党にもなれるのは、我々が生きているこの世界も同じだ。ガイは混沌とした世界で、ソクラテスも驚くほど善く生きようとする。「フリー・ガイ」とは「自由な男」という意味だ。強制ではなく、自由な意志でヒーローを目指すからこそ彼の選択は尊い。クリストファー・ノーラン監督は『インセプション』で、「この世界の主役は君じゃないかもね」とイギリス人らしい皮肉の込められたビジョンを見せてくれたが、本作は「君こそが主役だ」と背中を押してくれる。さて、あなたはどう生きるか? まだ分からなければ、ガイの生き方を学びに劇場に足を運ぶのはいかがだろう。そして、ゲームキャラに過ぎないガイとミリーの恋はここでゲームオーバーなのか、それとも……?

【ストーリー】
ルール無用・何でもありのオンライン・ゲーム<フリー・シティ>のモブ(背景)キャラとして、平凡で退屈な毎日を繰り返すガイ。ある日、彼は新しい自分に生まれ変わるため、ゲーム内のプログラムや設定を完全に無視して自分勝手に立ち上がる―。ありえないほど“いい人”すぎるヒーローとして。ゲーム史上最大の危機が迫る中、はたしてガイに世界は救えるのか…!?

【キャスト】
ライアン・レイノルズ、ジョディ・カマー、ジョー・キーリー、タイカ・ワイティティ

【スタッフ】
監督:ショーン・レビィ

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