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『ザ・スーサイド・スクワッド 極 悪党 、 集結』世界崩壊なんてオマツリ、ヒーローだけに味わわせてたまるかっ!

◆公開中の注目作 
『ザ・スーサイド・スクワッド 極 悪党 、 集結』

 

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

 

つい5年前、「ザ」のない『スーサイド・スクワッド』なる作品があった。基本的な設定は大体一緒だが、観客の期待を裏切るマイルドさだったので評判はガタガタ。では本作は? 観客の期待を大幅に超えるワイルドさだ! 人によってはエチケット袋が必要かもしれないが、そんな人を見たら監督のジェームズ・ガンは満面の笑みでガッツポーズするだろう。「してやったり!」と。

ガンは今でこそマーベルコミックス映画の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(以下GotG)』シリーズで知られているが、元々過激な作風だった。デビュー作『スリザー』はSFホラー「コメディ」だが、笑う代わりに顔が引きつる人も多かろう。ナメクジ型エイリアンが地球にやってきて人間に寄生……(これ以上は奇声を上げる方が続出するだろうから自主規制)。ガンの困ったセンスは、“お下劣”映画で有名なトロマ・エンターテインメント出身ゆえだ。実際、過激なジョークのツイートが元で、一度『GotG』第三弾の監督をクビになった(マーベルはディズニー傘下)。本作はマーベルのライバル、DCコミックス映画だが、クビの直後にこのオファーを受けたのだ。幸いガンは人望が厚く、後に『GotG』の監督に復帰するが、ディズニーの下では不可能だった持ち前の不謹慎ジョークのつるべ打ちをガン版『スースク』たる本作で実現させた。

ガンが共感を持って描いたのは、お馴染みのハーレイ・クイン他、暇さえあれば人の頭にかぶりつくサメ人間のキング・シャークや、水玉攻撃で敵を“チーズ”に変えてしまう日陰者のポルカドットマンなど、ジョークが人の皮を被ったようなキャラばかり。彼らはヒトデ型のカイジュウから世界を守る使命を課されながら、悲壮感もなく花火よろしくハデに散っていく。タイトルが「決死隊」を意味するだけに、そうでなければむしろ詐欺だ。こういう部分のコンプライアンスはキッチリ遵守しているのを見れば分かるように、ガンは信用できる映画監督なのだ。本作は、観客の倫理観に加え、「愛」が試される一作とも言える。好ましいものを好きになるのは当たり前。欠点を含めて好きになること、それが愛だ。問題だらけのキャラ、映画であることは間違いないけれど、死などのタブーを笑うのは人間だけに許された娯楽。朗エチケット袋のお世話になっても良いではないか。酒好きなら一度は嘔吐した経験があるだろう。では、それを後悔して断酒した者は何割いる? それが答えだ。

【ストーリー】
死亡率最悪の刑務所に収容されている、究極の悪党=“極”悪党たちが、出所を引き換えに成功率ほぼ0%のデス・ミッションに過激に挑む姿を、爽快且つド派手に描くアクション超大作。首の後ろに爆弾が埋め込まれ、命令に背けば即死、ミッション失敗でも即死というもはや自殺級といっても過言ではない状況下にもかからず、ノリとテンションで任務を遂行してゆく。史上最もヒーローらしくないヒーローチームの活躍を、ゴキゲンなヒット曲ナンバーと共に描いた『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を大ヒットに導いたジェームズ・ガン監督が描く。

【キャスト】
マーゴット・ロビー、イドリス・エルバ、ジョン・シナ、ジョエル・キナマン、ピーター・カパルディ、シルベスター・スタローン、ヴィオラ・デイヴィス

【スタッフ】
監督:ジェームズ・ガン

公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/thesuicidesquad/index.html

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