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「スターサンズ映画祭」DAY2『あゝ、荒野 後篇』/映画史に残る伝説のファイトシーンを創り出したスタッフが 激アツ撮影秘話を語る!

監督、プロデューサーが集結、映画ファンとの交流を図る、ファン必見の
「スターサンズ映画祭」DAY2
『あゝ、荒野 後篇』

スタッフも見惚れすぎ「カット」をかけれない程の熱戦

映画史に残る伝説のファイトシーンを創り出したスタッフが激アツ撮影秘話を語る

※初日の様子はこちら!

映画祭2日目となる8月28日(土)は、『あゝ、荒野 後篇』が上映。上映後に杉田浩光プロデューサー、岡下慶仁助監督、『100円の恋』『アンダードッグ』最新作『BLUE』(田恵輔監督)まで、今や日本のボクシング映画には欠かせない存在で、『あゝ、荒野』でボクシング指導を担当した松浦慎一郎が登壇し、『あゝ、荒野』前後扁を通しての、特にボクシング指導に関する制作秘話が展開した。

杉田浩光プロデューサー

昨日上映された『あゝ、荒野 前篇』から続けて来場してくださる熱狂的なファンも大勢いる中、2日目のトークショーが始まり、杉田プロデューサーは、「日本でボクシング映画は当たらないと言われていて、『あゝ、荒野』も最初はどうなんだろうと色々疑われたんですが、河村プロデューサーの思いと、岸監督と我々スタッフで何とかしてこのボクシング映画を成功させようという思いでいました、とは言いながら、こんなにボクシングシーンの多い作品をどうしたら成功させられるのかと思った時に、『百円の恋』の松浦さんに声をかけこの作品はスタートしました。」とボクシング指導を依頼した松浦との出会いを説明。そしてこの作品を作るにあたり苦労した所、岸監督の普段の映画作りからこのボクシング映画にどういった形、プロセスで作っていったのかスタッフ目線でのトークが展開。岡下助監督は「スタッフも多分初めてボクシングに接したと思うんですけども、これはどうやって撮ったら良いものかと。岸監督の撮り方のひとつなんですが、元々ドキュメンタリーのテレビディレクターなので、カットを割らないんです。基本的に、芝居部分は役者を一連の流れで撮って、編集で色々手を加えるというスタイルをとっています。それがボクシングのシーンとはかなり相性が悪いというのに、やり始めて気づきました。松浦さんのご協力で、ボクシング台本というのを作らないといけないと思い、松浦さんを居酒屋に呼び、『新次(菅田)はどういうボクサーなのか』という所からやっていきました」 と説明し、その答えを受けて松浦は「一番大変だったのが、本当は台本上そこでストップなんですけど、その後の余韻やお芝居を撮る監督だったので。ボクシングシーンだと「手がここまで」って決まってるのにその後を撮ろうとすると、演者たちはアドリブでボクシングシーンを続けてしまう。普通の役者なら手が終わりなんでそこで止まっちゃうんですけど、菅田君もヤン・イクチュンさんも山田裕貴さんも、他のボクサーの方々もそこでボクシングシーンを止めずに続けちゃうので、そこが危険で大変でした」としみじみ語った。

岡下慶仁(編集・助監督)

映画作りは怪我があってはダメで、安全第一で行われることが大事なことだが、特にボクシング映画ではそれが難しいという話になり、松浦は「普通のアクションと違って、型を決めちゃうと、特にこの作品では、寺山修司の世界観も出ないですし。なるべく手は決めるけど、決めない間合いというのも大事にしたかったので、難しかったですね」と話した。岡下は、「ボクシングに限らず、殴り合いは5手やったら違うカットに行かないとパンチが当たってないとかってことがバレてしまうのが普通で。それを基本としてカメラポジションなどを考えて、手持ちでドキュメンタリースタイルで撮るんじゃなくて、きちんと決めて撮ろうと心に決めたんですが、松浦さんが仕上げた俳優のボクサーたちがあまりにもすごすぎて。レフェリーやってた方が世界戦を担当するようなJBCのすごい人なんですけど、松浦さんに『よくプロボクサー育てたな』と言うくらいの。本来僕が岸監督に代わって現場で『用意、スタート』『カット』と言わないといけないんですけど、初日に見とれてしまって、普通のボクシング見てる感覚に陥ってしまって。カットをかけられず、手はなくなってるのに役者が打ち続ける状態になって、温厚な松浦さんが『岡下!カットだせよ!』って公開説教になりました」と話し、笑いが漏れた。松浦も、「手がなくなったらカットをかけるように岡下さんにしつこく言ってたんです。けれど岡下さんだけではなく、周りのスタッフもエキストラさんも本当に試合を見てるような感覚になって。試合をしている演者たちがどれだけすごいかってことなんですけどカットかけれないし。岡下さんには心を鬼にして胸倉掴んで止めてもらいました」と撮影当時を振り返る。杉田は、「この撮影に入る前に、スタッフ全員スパーリングから初めて、トレーニングしたんです。これは何故かというと、これだけ危険だよということを解っておいてということだったんですね。それを踏んでいてもカットかけれなかった。」とスタッフもまでも巻き込んでの作品作りだったかを明かし、松浦は「危険ですし、どれだけ集中力を使って、どれだけきついかを理解してもらいたかった。どれだけギリギリのところでやっているか、やって解ったと思うんですが、たった3分打つだけでもこんなに息切れるんだ、体が重くなるんだと。練習は1時間とかそこらですが、撮影だとほぼ1日かけてやりますよね。それを5日とか6日やるわけです。菅田君は、山田裕貴くんとの試合、ヤン・イクチュンとの試合のシーンが続いていたので、5日間ぐらいやり続けるわけです。本物のプロよりもきついわけなんです。ということで身をもってスタッフの方にも体験してもらったんです。」と危険を伴う撮影の過酷さを語った。

松浦慎一郎(ボクシング指導)

どういうパンチが当たって、どういう風に腫れていくかという傷メイクにこだわったという岸監督の演出。菅田は逆に殴られる感覚を知っておきたいということで、それも確かめながら進めたとのこと。 新次(菅田)・裕ニ(山田)戦では実際に打撃が当たっているが、持ち前の運動神経で衝撃を逃がしながらやっていたと話した。岡下助監督は「そもそも当てるってことに抵抗がある方も多いので、菅田君、山田君、ヤンさんはハート・覚悟も据わっていた」と振り返った。

当初、多忙を極めていた菅田は体重が55キロぐらいで体が細かったが、過酷なトレーニングの結果、素人では扱えないヘビーロープの二重飛びもできるようになった。カーボアップという、試合シーンの1日、2日前に炭水化物と糖質を抜くと筋肉の中にグリコーゲンなどが溜め込まれ、体がパンプする食事法の話に。精神的・肉体的に負担がかかるものの菅田と山田が希望し、菅田がキャベツをこんなにおいしいと思わなかったと食べている横で、岡下助監督が「今日おれラーメン食べよ」と漏らしてしまい、菅田に、演じた新次ばりの目つきで睨まれ激ギレされたエピソードも披露され、観客の笑いを誘った。最後には松浦が『百円の恋』で熱が入りすぎ、主演の安藤サクラのマネージャーと結婚したという意外な話も飛び出した。終始和やかな雰囲気のまま、トークは幕を閉じた。

取材:屋我平一朗(ホラーが主食の映画ブロガー)

【開催概要】
タイトル:「スターサンズ映画祭byプレチケ」
開催時期:2021年 8月27日(金)~9月1日(水)
場所:KADOKAWAシネマ有楽町
料金:1600円(税込み)
主催:Filmarks
提供:スターサンズ
協力:KADOKAWA

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