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『パンケーキを毒見する』河村光庸プロデューサーが生徒たちの質問に答える特別講義を実施!

日本の民主主義は消滅してしまったのか?
かつてない政治ドキュメンタリー映画が誕生!
『パンケーキを毒見する』
河村光庸プロデューサーが生徒たちの質問に答える特別講義を実施!

日本アカデミー賞作品「新聞記者」や、東京国際映画祭作品賞(スプラッシュ部門)「i-新聞記者ドキュメント-」で官邸政治の闇や、菅首相(当時官房長官)をウォッチしてきたスターサンズが、“今、一番日本人が知りたい”菅政権の正体”に迫ったドキュメンタリー映画『パンケーキを毒見する』が7月30日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開する。今回、日本大学映画学科の特別講義として本作の試写会が行われ、上映後に河村光庸プロデューサーが生徒たちからの質問に答えた。

まず聞き手役の古賀太氏(日本大学 芸術学部 映画学科 教授)から本作の製作経緯を聞かれると「企画したのは2020年の8月ですね。首相が安部さんから菅さんに変わるのが確定した頃です。これはやらねばと思いました。」と当時を振り返った。本作を監督したのはテレビマンユニオンの内山雄人氏。

監督選びについて聞かれると「時間の無い中でこの映画をどう表現したらいいかと。若い人に観てもらいたかったので、政治的になり過ぎないようアニメを挿入したり面白くしたかったんです。それと自民党の党員、支持者の人にも見てほしいという思いがありました。そういう思いを表現できる監督を探したんですが、なかなか見つからず11月に入ってしまい、これはマズいぞと。そのときに、長い付き合いの内山監督の事を思い出しました。彼はテレビでスポンサーから抑えられたり、こういう表現は駄目だと常日頃から抑えられていたので、もう自由にやっていいぞと言って話をしたら、やると。それで決まりました。」と当時の裏話を披露した。

続いて今回の本題である学生とのQ&Aの時間に。映画を観た直後という事もあって、次々と学生たちから質問が投げかけられた。

<学生たちとのQ&A>

Q.若い人に届けたいという事ですが、「パンケーキ」や「令和おじさん」など若者もイメージしやすいという意図から『パンケーキを毒見する』というタイトルにしたんですか?

河村「実はこの映画を企画したときから、すでにタイトルは決めていました。」

 

Q.この映画を作るうえでこだわった所はなんですか?

河村「まずエンターテインメントととして面白くしたいと思いました。日本のドキュメンタリーは対象を追って、その人から話を聞くというのが主流ですが、この人(菅首相)にその手法は無理です(笑)この映画はただこき下ろすのではなくて、褒めても構わない。現実の姿を見せようと。自民党からも石破元幹事長が出てくれてますけど、幅広くキチっと捉えていく。しかしやっぱり”うーん”と考えさせらるような作品にしたかった。それと秋の総選挙も意識しています。ぜひ投票を入れて欲しいと。」

古賀「9月末か10月末か分かりませんけども、この秋に必ず選挙があるという事をわかっていて、その前に公開しようということですね」

河村「そうです。しかもオリンピックのど真ん中。あっても無くても、ここだろうと思いました。今のマスコミは選挙の前は暗黙の了解で何も言わなくなります。しかし私たちは今の政治が良いのか悪いのか、映画で有権者に影響を及ぼしたいと思っているんです。」

Q.若者にアプローチする手法としてアニメーションという表現を選択した理由はなんですか?

河村「若者を意識したからアニメーションにしたということではないです。多くの人に見易くするためにその表現を取りました。映画の最後の方で日本の実態がデータとして数字で出てきますが、すごく低いんですね。今こんなことになってるの!?という現状を若い人に実際の日本というのを知って欲しいです。」

 

Q.メディアに対する圧力という話が出てきますが、この映画も製作中にそういう政府の圧力があったりしましたか?

河村「『新聞記者』のときもよく聞かれたんですが直接的なものは無いですね。今のやり方は同調圧力で、何気なくそういう雰囲気を作ります。私は別に反権力でもなくて、左でも右でもないです。もっと客観的な視点で見てるんです。この前、映画の公式Twitterが製作発表をした日の夜にアカウント凍結されたんです。丸一日経ってメディアがその件を報じたらランキングトップになって盛り上がったら、翌日の未明に解除されました。これは機械的なものではなくて、人為的に凍結したようにしか見えない。そういうどこかを経由したやり方ですね。」

 

Q.本作を選挙前にNetflixなど配信サービスで展開する計画はありますか?私はSNSをよく使いますが、回りの人間が色んな投稿をするのに、選挙には触れない人が多いので配信があると共有がし易いと思いました。

河村「考えてますが出来るだけ劇場で広めたいと思っています。でも、この映画を配信する前に2があるかもしれません。2というか、今度の選挙の末路を描きたい。それを撮ってバッ!と流したいですね。」

 

Q.なぜこういう題材をテレビでなく映画で描こうと思ったんですか?

河村「映画が1番自由だからです。最初に言いましたが、テレビで色々作ろうと思っても、それは駄目だとスポンサーに止められてしまったり制約があるんです。そういう面で映画は自由に描けると思っています。」

 

Q.この映画でも出てきますが、「若者」という言葉に疑問を持っていて嫌いです。例えば「ニュースなどで緊急事態宣言中に外出して自粛できない若者」、「若者が犯罪を犯す傾向が多い」など一括りに指摘されがちですが、自分はそこに属していないと思っています。「若者」という言葉が包括する年代と、どういったイメージを河村プロデューサーはお持ちですか?

河村「ちょっと反省しました。私のイメージでは有権者の18歳から35歳くらいまでを考えています。若者という言葉の使い方は私もちょっとっ反省しますね。なんか新しい言葉ないですかね?(笑)」

Q:映画の最後の方で学生にインタビューしている場面がありました。あの学生たちはどうやって選ばれたんでしょうか?彼らの横に「〇〇大学」とテロップが出て、そこで学歴社会が露見している気がしました。若者にも政治に関心がある人だけではなく、高校にも進学しないで働いてる人や、夜な夜な遊び歩いてる人など、色んな人がいると思います。いかにも真面目そうな人だけだと共感できないし、代弁されているという気持ちになれません。次回作があるなら、いろんなタイプの若者を登場させてほしいと思いました。

河村「これも反省します(笑)本当にそうですね。その通りだと思います。」

 

Q.先ほどのお話しで日本の現状を知ってほしいと仰ってましたが、グラフや数字を見て、例えばトヨタが世界的に低い所にいることなど知りませんでした。あの現状を知ったうえで私たちはどうすればいいのでしょうか?

河村「まずは事実を知ってほしいと思ったんです。そして自分の実感として色んな事が分かってくればいいなと。あの数字を見て実感を持てない方もいるかもしれないですが、映画を観た人たちがこれを口コミにしていろんな形で現状の幻想を打破してほしいなと思ってます。」

 

Q.色んな現状のトピックが集まってこの映画が完成していると思います。オリンピックの事が少なかったり、学術会議の話が多かったりと、トピックごとの扱うボリュームの加減や、塩梅はどう考えたんですが?

河村「だから正直な話2をやりたいと思ってるんです。 この映画で扱いたいもののインタビューが出来なかったりしたので、ドキュメンタリーですから、ちゃんと接して話を聞かないといけない。とくにオリンピックなんかそうですね。五輪のマークも出すと著作権違反になってしまうんです。それと「オリンピック」とも言ってはいけないんです。だから映画では「オリムピック」って言ってます(笑)実際はそこもやりたかったんですが、映画館でやるにはいいんですが、世界に配信することを考えると難しかったです。」

 

Q.若者に対して選挙の投票率を上げないといけないと思ってます。映画でも選挙の義務化、投票の義務化の話が出ていました。河村さんの考えは?

河村「私は法律で何かするという問題以前に根本的な問題があると思います。憲法って我々の代理として為政者を監視するためにあるんです。法律を作る為政者たちは我々が投票で選んでいます。そこに憲法というものがあって、我々の代理として監視してもらってるわけです。しかし彼らが憲法違反しても、日本には憲法裁判所がないので罪に問われないことがあるんですね。今の為政者たちは民主主義をやってるフリをしている、議論をやってるフリをしている。そういう問題が多発しているので、私たちも徐々にそういう所に目を向けていきたいと思ってます。

時間の許す限り行われた本企画。なかなか鋭い質問も投げかけられ思わず苦笑いしてしまう瞬間もあったが、まさかの続編計画の構想まで明かされ充実したQ&Aとなった。『パンケーキを毒見する』は7月30日(金)より、新宿ピカデリー他全国順次公開。

取材・文:ウメ氏

企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
監督:内山雄人 
ナレーター:古舘寛治
音楽:三浦良明 大山純(ストレイテナー) 
制作:テレビマンユニオン
配給:スターサンズ
配給協力:KADOKAWA
©2021『パンケーキを毒見する』製作委員会 

公式 サイト:https://www.pancake-movie.com