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【インタビュー】「魔女狩りというサディスティックな映画に興味を持っていた」鬼才ギャスパー・ノエ監督が新たに生み出した混沌『ルクス・エテルナ』とは?

『ルクス・エテルナ 永遠の光』
世界を挑発し続ける鬼才、ギャスパー・ノエ監督へのオンライン・インタビューが実現!

世界を挑発し続ける鬼才、ギャスパー・ノエ監督の新作『ルクス・エテルナ 永遠の光』が1月8日より公開される。監督の前作『CLIMAX クライマックス』に続き、カンヌ国際映画祭でも大きな賛否を巻き起こした作品がいよいよ日本に上陸する。

そして今回ギャスパー・ノエ監督へのオンラインインタビューが実現。本作を製作する経緯や、「映画」への熱い想いを熱く答えてくれた。

取材:大西駿介(ムービーマービー編集部)

Q.今回どういう経緯でこの映画を製作することになったのでしょうか?

ギャスパー・ノエ監督:アンソニー・ヴァカレロ(ファッションブランド「サンローラン」のクリエイティブディレクター)から電話をもらいました。それまで3、4回会ったことがあったけど、一度も仕事をしたことがなかったんだけど、「提案したいことがある」と言うので、カフェで会いました。そこで言われたのが「短編を撮らないか」という話だった。サンローランのコレクションを使うこと以外に条件はありませんでした。
数日後に2行か3行の短いシナリオを持って行って、翌月から映画の撮影に入ったのですが、映画をカンヌ国際映画祭に間に合わせる話をしました。カンヌ国際映画祭は2か月後に迫っていましたが、それが現実になりました。
以前撮影した『エンター・ザ・ボイド』で、私は日本人のように24時間働くという習慣がついていたので、今回も早く映画を撮ることに慣れていました。フランスでは2年に1本、3年に1本が普通ですが、日本では年に3本4本撮る人もいますよね。私のアイドル、若松孝二監督は機械のように早く映画を撮る人でした。

Q.ベアトリス・ダル、シャルロット・ゲンズブールの2人を主演に迎えた作品ですが、キャスティング経緯を教えてください。

ギャスパー・ノエ監督:映画を作るにあたって、私のミューズになっている俳優女優を起用しても良いという事でした。私の好きな女優が2人いるんですけど、それが主演の2人でした。どちらか1人でも映画に出てくれれば良いなと思っていましたが、結果として2人とも出てくれました。
2人に連絡をとって、3行ぐらいのシナリオを送りました。ベアトリス・ダルはOKしてくれました。
シャルロットもOKはしてくれたけど、この映画について心配していました。私の作品は好きだけど、どういう映画に関わるのか、とても心配していました。でも最終的に撮影に入ってくれて、とても喜んでくれました。撮影はカオスの中で行われましけど、楽しいカオスでした。
この映画の冒頭で2人が話をするシーンがあると想うんですけど、2人が即興で、アドリブでやってくれました。私はセリフを書いたわけでもなく、シナリオを書いたわけではない。映画の名前や人の名前を出さないっていう注意をしただけで、他は即興で演じてくれました。

Q.この映画では「魔女狩り」を題材にした映画を作っている様子を映していますが、どういう意図があったのですか?

ギャスパー・ノエ監督:「魔女狩り」という、ある意味サディスティックな映画に興味を持っていました。神の名においてそういうことを行う、今もそういう現状があります。子供の時は無宗教の人が増えて、そういう事に無関心な人が増えると思っていました。でも今の世の中を見ると宗教的な狂信者はどんどん増えています。
異端審問に興味を持った理由として、その犠牲になっている人の80%が女性なんです。それはある意味大虐殺なんです。
実は魔女狩りをテーマにした映画は少ないんです。この映画でも引用している、『怒りの日』や、日本で作られた『哀しみのベラドンナ』という1973年の素晴らしい映画がありますが、今ではこうした主題で映画を撮ることはとても難しい。真面目に信憑性のあるものを撮ること、現代性を消し去って映画を撮ることは難しいと思います。
例えばメル・ギブソンは『アポカリプト』というマヤの話、『パッション』ではキリストの受難を描いています。マヤについてはマヤ語を話す人を使っていますし、パッションの方ではその当時話していた言語を使っています。しかし、やはり信憑性はそこまでありません。信憑性のある映画を撮ることはお金もかかるし、とても難しいことですし、当時の時代や考え方、言語を再現するのはとても難しいです。
本作でも若い女性が時代物を取る難しさを表しています。

Q.本作には随所でゴダールをはじめとした映画監督の言葉がインサートされます。例えば「我々 映画人には責任がある、映画を商品から芸術に高める責任だ」という言葉ですが、これはあなた自身が今の映画業界に対して思っていることなのですか?

ギャスパー・ノエ監督:映画の中にはただ単に面白いもの、高尚な芸術のもの二通りあると思います。引用を使うのは気取っていると思われるかもしれないですが、映画の中には様々な言語や表現形態があります。例えばゴダールやミシェル・ゴンドリーの映画もすごく面白いと思います。芸術と一口に言っても、キューブリックの『2001年宇宙の旅』のような作品や、もっと商業的なものも存在すると思っています。その2つが存在していいと思っています。
こうしてコロナのせいで自宅に篭っていますが、そのおかげでアートと言える映画をたくさん見る機会がありました。これまで見る機会がなかった溝口、成瀬、中でも一番印象的だった木下恵介です。彼の『楢山節考』は世界の中で最高の映画の1本です。

一つの質問に対して熱を持って答えてくれたギャスパー・ノエ監督。エキセントリックな作風とは裏腹に、監督自身は非常に温和で、しかし「映画」という芸術に対して確固たる信念を持っていることを感じることが出来るインタビューだった。

映画『ルクス・エテルナ 永遠の光』は1月8日よりシネマート新宿、アップリンク吉祥寺、シネマート心斎橋他、全国順次公開。

ギャスパー・ノエ
アルゼンチン・ブエノスアイレス出身。フランスへ移住し、1991年、監督・脚本作品の中編『カルネ』がフランスでヒットし、日本でも公開され、大きなインパクトを与え、続編の『カノン』(98)も話題を呼んだ。2002年には当時、夫婦であったモニカ・べルッチとヴァンサン・カッセルを主演に迎えた『アレックス』がカンヌ国際映画祭で上映され、大きな物議を醸した。その他、東京が舞台の『エンター・ザ・ボイド』(09)、大胆な性描写を3Dで撮影した『LOVE 3D』(15)を監督している。

【作品あらすじ】
女優ベアトリス・ダル監督デビュー作の撮影現場。魔女狩りが主題の映画で主演を務めるのは、シャルロット・ゲンズブール。この日は磔のシーンが撮影される予定だが、ベアトリスを監督の座から引き下ろしたいプロデューサーと彼らと結託する撮影監督、更にはシャルロットを自身の作品にスカウトしようとする新人監督や現場に潜り込んだ映画ジャーナリストなど、それぞれの思惑や執着が交錯し、現場は次第に収拾のつかない混乱状態へと発展していく。しかも、問題のシーンの撮影直前に、シャルロットには子守に預けている娘から不穏な内容の電話までかかってきて・・・。

【キャスト】
シャルロット・ゲンズブール、ベアトリス・ダル

【スタッフ】
監督・脚本:ギャスパー・ノエ

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