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【第33回東京国際映画祭】是枝監督・行定監督・スターサンズ河村代表らが語る「映画の未来と配信」トークイベント レポート!

映画はどう変わる?配信はどうなっていく?
「映画の未来と配信」を語る!
東京国際映画祭トークイベント レポート!!

©2020 TIFF

10月31日より開催中の第33回東京国際映画祭。今年の新たな試みとして、東京国際映画祭(以降 TIFF)と国際交 流基金アジアセンターとの共催で、是枝裕和監督が発案し、検討会議メンバーとともに企画したアジア各国・地域を代 表する映画監督と、第一線で活躍する日本の映画人とのオンライン・トークシリーズ「アジア交流ラウンジ」。

4日に行われた特別セッションでは、パネリストに河村光庸(株式会社スターサンズ代表取締役)、是枝裕和(映画監督)、坂本和隆(Netflixコンテンツ・アクイジション部門ディレクター)、松岡宏泰(東宝株式会社常務取締役)、行定勲(映画監督)、リム・カーワイ(映画監督)という日本とマレーシアの映画業界のクリエイティブからビジネス面におけるトップクラスの方々を集め、「映画の未来と配信」というテーマで議論が交わされた。


©2020 TIFF

議論は冒頭の是枝監督からの今回の「アジア交流ラウンジ」への思いとしての「映画人が交流するような場所を作りたかったので今回こういうものを企画したが、1つくらいオンラインじゃなくて実際に集まって話し合う場があってもいいのでは?と思って今日の特別セッションを設けた」という言葉から始まった。

コロナ禍によって映画の在り方が変わっている激動の時代の中で 「映画の未来と配信」というテーマで、“映画ってなんだろう?映画はこれからどうなっていくんだろうか?”ということを映画業界の最前線の方々に問いかける場となった。

©2020 TIFF

Q,作り手から観た配信とは?

是枝監督:権利が作り手に残るなどのメリットがある。映画館で上映されるということをのぞけば多様な企画が作れるチャンスがある。

行定監督:配信といえば俺?みたいになってるけど(7月に『劇場』で劇場公開と配信を同時に行った)、自分はずっとロードショーにこだわってきた。映画は「鮮度」が大事。やはりスクリーンで見せたい。『劇場』では そういう僕の意思を尊重してもらって全国20館と配信の同時公開ができた。改めてスクリーンで見てもらう 喜びを味わえた。あの7月11日は忘れられない。配信する側の人は数字は教えてくれないんだけど、自分としては配信の視聴数は70万~100万人くらいかなと思っていたら、二桁違うと言われた。242か国に配信されたので、本当に桁が違う。これは日本映画を広げる場になる。

坂本氏:Netflix では190か国以上に配信が可能。コンテンツに関してはまずは自国の良さを出していくべき だと思っていて、企画とストーリー次第。スピード感も大事だと思っている 河村氏:3年前に『あゝ、荒野』という映画を作った。あれはいわゆる挑戦的な映画だった。実は最初は6話で配信用に作られていたところを、これは映画にするべきだということで映画にした経緯がある。U-NEXTに出資もしてもらって展開した。もともとは配信ありきで成立した映画。そして、配信、劇場、パッケージでそれぞれ見る人が違うと思って、それぞれ独自の展開を行ったりもした。それが3年前。インディーが存続していく上で配信は欠かせないものになっていて、コロナ禍においてますますその認識を強めた。

Q,配信と劇場の共存共栄は可能か?

©2020 TIFF

松岡氏:配信と映画館ビジネスの共存は可能だと思っている。今は過渡期。配信は重要なパートナーであることも事実。今は映画館が閉まっているので、配信に行くのは仕方ない。今後色んなフォーマットが成立しうる と思っているし、ODS(Other Digital Stuff の略称でコンサートなど映画以外のコンテンツを映画館で上映す るものの総称)などに代表されるように日本の映画館は多様性があると思っている。

坂本氏:劇場公開と配信はパイは食い合わないと思っている。映画館へ足を運ぶ人は配信サービスを利用するし、その逆もまた然り。

Q,日本の映画業界全体について

是枝監督:日本の興収全体の数%をミニシアターに戻すなど、映連(大手映画会社から成る一般社団法人日本 映画製作者連盟の略称)からミニシアターへの別の還元の仕方もあるのでは?

©2020 TIFF

リム監督:僕は映画は映画館で観ていた。Netflix は見ていなかった。しかし、コロナ禍のマレーシアでは映 画館が閉じていたので配信しかなかったから、時間もあったし色々見てた。Netflixを見ていると毎日のベスト10というのが見られるんだけど、ほとんどが韓国ドラマか韓国映画。日本はたまにアニメが入るくらい。これが悔しい。日本のコンテンツがベスト10に入ってこない。世界の基準からすると少し離れているのかも。

行定監督:でもこれは逆に考えればチャンス。日本の男女の在り方って海外にはこんな風に届く(理解できない)のかと。こういう意見は作り手にプラスになる。日本独自の作品の世界。映画祭が広げていく形から配信 で広がっていく可能性がある。ただ、僕らはやっぱり映画館でかかることを夢見ている。劇場でちゃんとかかって、その後に配信というのがベスト。『劇場』で映画館に来てくれたお客は一人一人の顔が見える感じがした。劇場公開から配信までの期間として17日間(週末が3回)というウィンドウを提案したい。映画館は絶対になくならない。

©2020 TIFF

Q,質が問われる時代。製作環境に何が必要なのか?

是枝監督:僕は行定監督もそうだと思うけど、バランスとりながらやってきた。自分の資質と作品のポピュラリティのバランス。コロナという見えないものを相手にしたときに可視化されたものもある。ミニシアターエイド。日本にはまだこんなに映画を望んでいる人がいたことがわかった。この20年でアート系の映画館がかなり消えてきた。アート系では人間関係の継続がある。シネコンは2年でスタッフがかわる。人間関係が続かない。シネコンとアートハウスを併存させるには何か手立てを打たないと。公的資金だけでなく、制度としてできる道がないか、考えていかなければならない。産業、文化としても存続させなければならない。

行定監督:観客とともに成長できるかが鍵だと思っている。冒険という言葉が必要。くまもと復興映画祭という映画祭をやっているんだけど、そこでお客さんが育っている感覚がある。お客さんの方に普段は観ない映画を観に来る覚悟がある。ミニシアターは客と作り手が近くなる。SNSもあるし、もっと映画を発見してほしい。そして、そこに刺さるような映画を作りたい。これからは世界中の人に観てもらわないと話にならない。産業として輸出という観点も大事。映画祭も含めて日本のこれが面白いんだということ発信していく必要がある。

河村氏:観客のために映画祭がある。TIFFと東京フィルメックスが同時期開催になったのは快挙だと思う。映画祭の厚みが増す。

坂本氏:これまで以上に作品が求められている時代。ボーダーレスになっている。観る機会、出会う機会が増える。才能の交流も増える。これが全世界で同時多発的に起こっていく。環境を用意するのが自分たちの責任。クリエイターはそこでどこまでフルスイングできるかということになると思う。オールジャパンでタッグ を組んで出していきたい。

©2020 TIFF

Q,最後に「映画とは?」

坂本氏:これが映画なんだと思えば映画。形式にこだわらずに作り手、視聴者が決めるもの。

行定監督:くまもと復興映画祭をやるきっかけになった言葉がある。熊本の菊池市という映画館もない小さな町でやっているんだけど、そこの人が言ったのは「映画ってたくさんの人を集めてみんなで観るもの。だから映画をやってみんなで観てもらいたい」。映画を作っても簡単に人は来てくれないよと思っていたけど、その言葉を聞いてはっとした。映画はやっぱりたくさんの人が見る、共有するものであってほしい。

河村:配信の映画を映画館で観られるようにしてほしい。映連は「映画館で初公開された作品を映画と呼ぶ」 と定義したとのことだが、映画を映画館との関係においてだけ外形的に規定しないでほしい。

松岡:お客様に決めてもらう。お客さんに観てもらうために作っている。

リム:映画という定義は絶対にあると思う。あらゆる映像作品が「映画」ではないはず。

是枝:そもそも今回のトークセッションは映画を定義してくれというものではなかったんだけど(笑)。コロナ禍で色々な可能性が出てきていて、映画の定義を更新していくことが必要。本来は映画祭が提示していく。これが映画なんじゃないかと語り合うのが映画祭の醍醐味。ミニシアターが減る中で映画祭は多様なものに出会うチャンス。新しい観客と新しい作り手。多様性を失わないことを願っている。配信コンテンツの多様性が増える中で、映画館での多様性が反比例して減っていくのはさけたい。作り手もそういったことを意識的にやらないと映画館は消えてしまう。

©2020 TIFF

最後に司会から今年のベネチア国際映画祭で映画人に質問された「映画とは?」との問いへのトッド・ヘインズ監督の答えが披露されて締め括られました。 「映画とは暗闇の中で私たちを1つに結ぶもの」

第33回東京国際映画祭は10月31日から11月9日まで開催。

東京国際映画祭公式HP:https://2020.tiff-jp.net/ja/