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【インタビュー】「男の引き際の話にしたいと思った」萩原健太郎監督が語る『サヨナラまでの30分』とは

1月24日に公開が迫った映画『サヨナラまでの30分』。1年前に死んだバンドミュージシャンのアキと、人と関わることが苦手な大学生の颯太を中心に物語が展開する青春音楽ラブストーリーだ。今人気絶頂の俳優、新田真剣佑とダンスロックバンド「DISH//」でミュージシャンとしても活躍する俳優・北村匠海のW主演によるオリジナルストーリーが展開する。

今回、本作の監督を務めた萩原健太郎にインタビューを実施。本作に込められた想いを聞いた。

取材:梅崎慎也(ムービーマービー編集部)

—よろしくお願いします!映画を拝見する前は、自分では苦手ジャンルの女子向けキラキラ恋愛映画だと思っていたんですけど、意外にも男子のハートをアツくさせる要素が多くて驚きました(笑)

萩原健太郎監督(以下“萩原”表記):ありがとうございます。『君と100回目の恋』と同じチームなんですが、続けて同じようなことをやっても仕方ないですし、僕はキラキラな映画にはしたくないってプロデューサーに話してたんですよ。むしろ男の映画にしたかったんです。死んだアキ(新田真剣佑)を主人公にして、彼という存在を映画にしたかった。みんなにとって自分は必要な存在だと思っていたけど、蘇ってみたら意外とそうでもない。「あれ、俺いらないな」となった時、自分の存在理由に気付いて、最後には去っていくと。映画『レスラー』じゃないですけど、男の引き際の話にしたいと思いました。

—『レスラー』!?男の生き様を描いた最高の映画じゃないですか(笑)ちなみに本作はどういう経緯で監督を引き受けることになったんですか?

萩原:今回で長編映画は2本目なんですけど、1本目の『東京喰種 トーキョーグール』の公開後にお話を頂きました。関連性がまったく見えなくて、自分でもなんでだろうと思ってプロデューサーの井手陽子さんに聞いたら、過去に僕が撮ったヒューマン系の『スーパースター』というショートフィルムを気に入ってくれていたようで。それから僕が長編を撮れるようになったっていうのを聞きつけてオファーしてくれたのが経緯です。その頃はまだ、脚本の大島里美さんと井手さんで作った、ラフなプロットの段階で、“カセットテープ”という大本のコンセプトはありましたが、僕が入ってから3人で脚本は開発していきました。

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—そのキーになるカセットテープですが、データを上書きしてもそれまでのデータは消えるわけじゃなくて実は残っているというのが面白かったです。まさに映画のテーマそのものというか。カセットテープ世代ですけど、そのことは知らなかったです。

萩原:僕も面白いと思いましたね。当時、イエール大学の教授が書いた「DEATH」という本を読んでいて、生とか死について考えていたんです。「人は2度死ぬ」という言葉がありますけど、肉体が消えて、誰もその人の話をしなくなったとき、本当の意味で死ぬっていうじゃないですか。カセットテープの設定が当時自分の中で関心があった部分とちょうど重なったっていうのがありました。若者向けの映画で死を扱うものって割と多くて、若い子が見て泣いたりしますけど、なんで泣くかっていうと、喪失して悲しんでいる人を見て泣いているんですよね。それってちゃんと死に触れていない気がして。この映画ではちゃんと人がいなくなるとか、消えるっていうことはやりたいなって思いました。

サブ5

—本作の大きな見どころの一つでもある音楽部分ですけど、劇中で流れる楽曲、バンド演出もかなり気合が入ってますよね。やはり萩原監督がMVを多く手掛けてきたというのも大きいんですか?

萩原:そうですね。個人的な意見ですけど、邦画で音楽が豊かな音楽映画ってあまり見た事ないなって思っていて。そこはこだわってやりました。

—バンド演奏シーンも全てキャストの皆さんがやっていますが、その案は誰から出たんですか?

萩原:基本的に僕ですね。普通は全部演奏ってしないじゃないですか。本作は演奏する曲数自体が多いというのもあって、プロデューサーは無理って言ったんですけど、僕が嫌だって言って(笑)やっぱり全部弾けるようにならないと、プロのバンドには見えないと思ったんです。自分たちで演奏しないと良い芝居も出来ないと思うので、それを演者に伝えたら、「分かった、やる」と言ってくれて。ちゃんと全曲弾けるようになったんですよ。それに、芝居をするとなると弾けるだけではダメで、彼らにとって音楽というものが、彼らの人生にとって本当に必要なものに見えないといけない。演奏している時の活き活きしてる様も加えてみんな演じてくれたから、本当に凄いなって思いました。

サブ8

—ちゃんと本物のバンドに見えてましたよ。やっぱり当て振りだったり、手元の演奏はアップで映して明らかに別人だなって分かるとなんか冷めちゃいますよね。あのレベルまで持っていくのに準備期間はどれぐらいあったんですか?

萩原:人によって違いはありますけど、半年ぐらいですね。それは個々のレッスン期間で、バンド全員で初めて練習したのはクランクインの2日ぐらい前なんです。下北沢のスタジオを借りて最初に曲を合わせた時、これヤバイなって思ったんですよ。全然バンドに見えなないし、バラバラだし。でもそこから北村(匠海)くんがまとめてくれて。1日10時間ぐらい2日連続でやって、そこからみんなも仲良くなったし、バンド感みたいなものが凄く出てきました。凄い頑張りましたよ。

—アキが颯太(北村匠海)の体を借りて歌うところは凄かったですね。見た目は颯太のままだから、北村さんが1人でアキの分も歌い分けるという。新田さんが演じるアキの歌い方を完コピしてましたね。

萩原:いや、本当に凄いですよね(笑)2人はすごい仲が良くて、プライベートで一緒にカラオケに行ったりしていたみたいなんで、互いの声質とか歌い方を予め理解していたのは大きかったと思います。

—北村さんは普段バンドのボーカリストとして活動しているので歌えるというのは分かるんですけど、新田さんも歌がやたら上手いという…、天はいったい彼にどれだけの才能を与えるのかと(笑)

萩原:僕らも「そもそも積んでるエンジンが違う」って話してました(笑)

サブ1

—今回、舞台を長野県にしたのは何か理由があったんですか?設定だけ見ると下北沢でも良さそうですけど。

萩原:地方都市が良いねという話がまずあったんですけど、一定期間その場所にいることで、チーム感とか、バンド感が出てくるんじゃないかと。あと松本はもともと音楽の匂いがする町で、アートの街でもあるんですよ。それと撮影は7月だったんですけど、松本は降水量も少なくて良いなって(笑)

—雨はロケ撮影に直結する問題ですから重要ですよね(笑)

萩原:あと松本では「りんご音楽祭」っていう野外音楽フェスをやっているって聞いて、そこの方とも話をしたら協力してくれることになったので、松本に決まりました。音楽祭を実際に手伝っている人たちがエキストラでも出てくれたりしてます。

—自分は音楽フェスによく行く人間なので、「りんご音楽祭」が実際にあるイベントで、どういったアーティストがこれまで出演しているとか̪知っているので、劇中バンドECHOLL(エコール)の音楽シーンにおける立ち位置が見えてきて面白かったです(笑)

萩原:そうなんですよ!そこのリアリティって映画に絶対に必要だと思っています(笑)

サブ9

—架空のフェスとかにしなくて正解ですよ。やっぱり実在するイベントだからピンと来る人も多いと思いますし。ライブのシーンもステージ上だけでなく全体的に細かいところで没入度を上げるこだわりが見えて、音楽ファンからすると映画の世界に入り込みやすくて嬉しいですね。

萩原:フェスのシーンは本当にこだわりましたね。1ヶ月の撮影期間の真ん中を過ぎたぐらいだったんですよ。バンドメンバーの彼らが自分たちを乗り越える事で、より役として魅力的になるんじゃないかなっていう確信があって。彼らのためにあのフェスシーンを撮ったというのはありますね。僕の気持ちも汲んでくれて、みんな本当に頑張ってくれました。3日間弾きっぱなしなんですよ。同じ曲を朝から日が暮れるまで。普通気が狂いますよ(笑)なのに(バンドのドラム担当・重田役の)上杉(柊平)くんとかは1日目は力が入りすぎちゃったから、2日目もう一回僕の寄り撮ってくださいとか。完璧にやりたいっていう人もいて、みんな凄く熱かったですね。

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—今回、音楽映画を撮られたわけですけど、今後も別の音楽映画も撮りたいと思いますか?

萩原:今回はロックバンドのお話でしたが、もともとはヒップホップが大好きなんですよ。普段はCMの仕事とかやっているんで、いろんなジャンルの音楽を聴くようにはしてるんですけど、プライベートでは本当にヒップホップしか聞いてこなかったので、いつかヒップホップ映画は作りたいなと思ってるんです。インディーズでは沢山作られてますけど、やるからにはメジャーで大きくやりたいですね。

—それメチャメチャ見たいです!ぜひやってくださいよ!でもまずは『サヨナラまでの30分』をヒットさせて音楽映画というものをアピールしましょう!

萩原:ありがとうございます!ちょっと考えてみます(笑)

本作に対して、そして音楽映画について熱い想いを語ってくれた萩原監督。今後の邦画における音楽映画を牽引する存在になって欲しいと願わずにはいられない程に、静かな口調の中にも熱い想いを語ってくれた。『サヨナラまでの30分』は1月24日(金)より全国公開。

 

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萩原健太郎(はぎわらけんたろう)
1980年生まれ、東京都出身。2000年、米・ロサンゼルスのArt Center College of Design映画学部に入学。帰国後は、多数のTV-CM、MV、ショートフィルムの演出を手がける。13年には初の長編脚本「Spectacled Tiger」が、米・サンダンス映画祭で最優秀脚本賞、サンダンスNHK賞を日本人で初めて受賞。17年石田スイの人気コミックを実写映画化した『東京喰種 トーキョーグール』で長編映画監督デビューを果たし、18年には河瀨直美らと共に短編プロジェクト『CINEMA FIGHTERS/シネマファイターズ』に参加し短編映画『Snowman』を監督。そのほか、演出を手掛けたNHK BSプレミアムドラマ「嘘なんてひとつもないの」がATP賞ドラマ部分奨励賞を受賞。

2nd POSTER 入稿

【あらすじ】
バンド「ECHOLL」がメジャーデビューを目前に解散してから1年後、メンバーたちの前に突然見知らぬ大学生の颯太が現れた。バンド再結成をメンバーに迫る颯太の中身は、なんと1年前に死んだボーカルのアキだった。颯太が偶然拾ったカセットテープを再生する30分だけ、アキは颯太の体を借りて入れ替わり、1つの体を共有していく。人づきあいが苦手な颯太もアキや仲間たちと音楽を奏でる楽しさを知り、次第に打ち解けていくがアキの恋人カナだけはバンドに戻ってくることはなかった。カナに再び音楽を始めてもらうため、最高の1曲を作り上げようとするが、アキと颯太の入れ替われる時間はだんだん短くなっていく。

【キャスト】
新田真剣佑、北村匠海、久保田紗友、葉山奨之、上杉柊平、清原翔 ほか

【スタッフ】
監督:萩原健太郎

公式HP:http://sayonara-30min.com/

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