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映画「新聞記者」公開記念【特集:権力と報道メディア ⑥】「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」戦わない報道メディアはやっぱり #マスゴミ なのか? #リアリスティックムービーの世界 #同調圧力

「#新聞記者」公開記念【特集:#権力と報道メディア ⑥】
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
戦わない報道メディアはやっぱり #マスゴミ なのか? #リアリスティックムービーの世界 #同調圧力

「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」に出てくる記者たちと、日本のマスコミとはここが違うんだろうなぁと思うのは、部下のジャーナリストたちが全然権力にひるまず、闘う気マンマンで社長にも容赦しないし、上司を変な持ち上げ方しないところ。
あるのは「新聞記者」という職業意識そのもので、メリル・ストリープ演じる社主キャサリン・グラハムの方は「亡き夫から引き継いだこの会社、つぶれたらどうしよ」などと気にしているのに、トム・ハンクス演じる編集の主幹は「このネタをつぶしたら、自由の火が消えるぞ!」などと社主に迫ったりする。気にしていることのレベルが違う。
ま、もちろん映画ならではの脚色はあると思いますが、日本とは全然違う。日本では、ジャーナリストであっても正義の味方である前に一会社員だし、ジャーナリスト魂がなくても新聞社の社長はえらいということになる。日本は「会社社会」なんです。
 つまり、いくら権力の闇を暴いても、会社の上がそのお友達ってことになると、その記者は頑張れば頑張るほど会社の中で浮いてしまい、結果、報道メディアとしては完全に腰砕けになってしまう。だから、“ジャーナリスト”であっても上を見ながら「忖度」してうまくやるのは他の一般的な日本の会社と変わらないということになる。
 これが日本の報道メディアの最大の弱点、「同調圧力」というやつですね。

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 ただ、そんな状況に甘んじてもらっては困るんです。マスコミは巨大な情報発信力を持つ故に権力を監視し告発できる。それを本来の目的に使わず、「忖度」などという便利な言葉を生み出して、自分の責任逃れに使わないでもらいたいと思いますね。

 マスコミが自らの社会的な役割を「忖度」を理由に、戦わずして放棄することがいかに恐ろしい結果を生み出すかは歴史が証明しています。
皆さんご存知ないかもしれませんが、かつて日本の大新聞はこぞって戦果を煽って軍を称揚し、国を戦争に導いた歴史があります。
 それまでバランスを保っていた朝日新聞でさえ、満州事変を契機に軍部寄りの記事を出すようになった。この要因は政府や軍部など権力からの弾圧というより「忖度」。社会がどちらかというと右寄りになった時、朝日ばかりが政権批判していると不買運動をやられたりして面倒だし売り上げも落ちるという、つまり世の中に配慮した結果だったのです。

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 そして、日本のマスコミは政党より前に翼賛化して、日本が太平洋戦争に突入する大きな役割を果たしたんです。
 かつての朝日新聞主筆、緒方竹虎は後年述べています。
「筆者は今日でも、日本の大新聞が、満洲事変直後からでも、筆をそろへて軍の無軌道を責め、その横暴と戦っていたら、太平洋戦争はあるひは防ぎ得たのではないかと考へる」と。
 やはりジャーナリストは戦わなければならない時があるのだと思います。ワシントン・ポストの女社主キャサリン・グラハムも戦う道を選んだ。
この激動の時代、報道メディアの役割は大きい。記者と名乗るならば、右、左という会社が決めたポジショニングに追従するサラリーマンではなく、ひとりのジャーナリストとして機能して欲しいと思います。「誰よりも自分を信じ、疑え」そして自由のために戦えって事なんです。

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