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映画「新聞記者」公開記念【特集:権力と報道メディア ④】「大統領の陰謀」日本にもいるディープスロート「大統領の陰謀」の真実、大統領をも葬ったリークを巡る数奇なストーリー #リアリスティックムービーの世界

「大統領の陰謀~大統領をも葬る裏ワザ・リーク(後篇)

日本の報道メディアでも多くのスクープは内部情報のリークによって成り立っている。記憶に新しいところでは朝日新聞が報道した森友文書改ざん問題。これは、大阪地検か近畿財務局のリークと言われ“森友国会”の争点になった対権力のスクープである。逆に都知事選に出馬した途端、文春、新潮のスクープによって露見した鳥越俊太郎氏の女性問題や、伊藤詩織さんに対する複数のよからぬ噂。これは政権側のリークなのではないかと言われている。

また民主党政権時代、中国への外交的配慮で出さなかった尖閣諸島付近で海上保安庁の船に体当たりする中国漁船の映像を、海上保安官がYOUTUBEでリークした尖閣諸島映像流出事件なども忘れがたいが、ともかくさまざまあり、多い。

 リークで重要なのはリークする側の事情である。『大統領の陰謀』では、当時ニクソン政権はCIAを使って、FBIと暗闘・対立状態にあったことがリークを誘発させたのだ。当時FBIを切り盛りしていた“ディープスロート”ことマーク・フェルトは「アメリカの影の支配者」フーバー以来のFBIの権益を守るために、ニクソン大統領の失脚を狙っていたのだ。

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 日本のリークもいわゆる右VS左の対立構造に根差しており、政府筋や内閣官房などは読売・産経などの御用新聞に、実にタイミングよく情報がリークされ、SNSなどで拡散される。これこそ映画「新聞記者」で描かれる内調(内閣情報調査室)の仕事だと思って間違いない。彼らは週刊誌も活用する。

 一方、リベラルを称する朝日・毎日・東京新聞などの左翼系メディアはどこから情報を得るか?おもしろいことに、こちらも政府筋・各省庁の官僚たちなのだ。

国に仕える彼らが裏に回ってなぜ政権を貶めるのかといえば、それは自分たちが弱体化されると思っているからである。

現政権は各省庁から優秀な人材を内閣府に集め、まるでアメリカの大統領府のように官房に全ての権能を集中させ、各省庁を骨抜きにする作戦に出ている。

森友問題で朝日新聞にリークをしたと言われている地検は人事を官房にコントロールされ始めて、非常な危機感を感じていた可能性は高い。

日本はかつて官僚大国だったことを忘れてはいけない。少し前までは「総理大臣が誰であろうが一緒」とまで言われた役人主導の国だったのだ。小沢一郎擁する民主党が一時、政治主導を打ち出したが「冗談じゃない」とばかりに跳ね返し、返す刀で金銭スキャンダルをリークして小沢一郎を葬った。

それが、自民党が政権に返り咲いて数年のうちに一気に手足の自由を奪われてしまう。「こんなのは政治主導じゃない、官邸独裁だ」と叫んでみても、安倍政権の狡猾な官僚コントロールは揺るがない。各省庁のトップは忸怩たる思いがあってしかるべきであろう。そんな時「敵の敵は、味方」とばかりに、彼ら不遇な官僚達と反アベを隠そうともしないメディア(朝日新聞など)がくっつくことは大いにありえることだ。

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『大統領の陰謀』にも同じことがいえる。

映画としては一見、正義の新聞記者、ジャーナリズムの勝利という信念あふれるサスペンス作品にみえるが、その裏側はFBIの官僚が自らの省益を守るためニクソン政権をつぶしたいから、いろいろ嗅ぎまわってるワシントン・ポストの新聞記者を利用しただけの話、という図式だ。

この話には後日談があり、

マーク・フェルトはその後も自分がディープスロートであることを隠し続けたが、別件で副長官時代のテロ組織捜査をめぐる裁判の被告人となった。長い審理の間にかつての盟友ボブ・ウッドワードはジャーナリストとして全く逆の立場となり、一方審理の終盤でフェルトを擁護するため証人として出廷したのがニクソン前大統領であった。

有罪ながら罰金刑という軽い判決を受けた際、フェルトはウッドワードに「ニクソンは『ワシントン・ポスト』よりも力になってくれた」と語った。

そして、その後のレーガン大統領による赦免はフェルトを感激させ、「どれだけ大統領に感謝してよいか分からない」という言葉を残した。ニクソンはこの時に「正義は最後に必ず勝つ」という言葉を添えてフェルトにシャンパンを贈っている。

マーク・フェルトが「自分がディープスロートだった」と告白したのは、それからしばらくの後だった。

【ストーリー】
ウォーターゲート事件の知られざる真相を暴き、ニクソン大統領を失脚に導いたワシントン・ポスト紙の記者カール・バーンスタインとボブ・ウッドワードの回顧録を映画化した社会派サスペンスドラマ。1972年6月、ワシントンD.C.のウォーターゲートビルにある民主党本部に不審な5人組が侵入し、逮捕される。ワシントン・ポスト紙の新米記者ウッドワードは裁判を取材し、当初は単なる窃盗目的と思われた犯人たちの裏に何か大きな存在をかぎとる。先輩記者のバーンスタインと組んで事件の調査にあたることになったウッドワードは、情報提供者ディープ・スロートの助言や編集主幹ブラッドリーの後ろ盾を得て徐々に真相に迫るが……。第49回アカデミー賞で作品賞をはじめ計8部門にノミネート。ブラッドリーを演じたジェイソン・ロバーズの助演男優賞ほか計4部門を受賞した。

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