映画「新聞記者」公開記念【特集:権力と報道メディア ③】アカデミー作品賞「大統領の陰謀」はジャーナリズム映画の原点にして頂点。黒幕は米国大統領。新聞記者が最後に頼った裏ワザはリークだったー。 #リアリスティックムービーの世界

「大統領の陰謀~大統領をも葬る裏ワザ・リーク」

 いろいろあるけど、“ジャーナリズム映画”の原点にして頂点は『大統領の陰謀』に間違いない。この1976年にアラン・J・パクラ監督が撮ったアメリカ映画は、第49回アカデミー賞で8つのノミネーションを受け、作品賞を含む4部門で受賞した。まさに硬派な政治サスペンスの傑作と言っていい。
 物語は実際の事件~ウォーターゲート事件~を調査した新聞社ワシントン・ポストの二人のジャーナリストの手記を元にしたドラマ。ピリピリとした緊張感の中で話は進む。
 ワシントンポストの社会部記者ボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)は、民主党本部への侵入事件の取材をするうちに、この事件が単なる物盗りの事件ではないことを直感し、踏み込んだ取材を開始する。一方、先輩記者カール・バーンスタイン(ダスティン・ホフマン)もこの事件に興味を抱いており、ウッドワードとのタッグで調査を開始する。様々な横やりが入り事態が混迷を深める程、巨大な闇の存在を感じざるを得ない二人。
 上司や新聞社に後押しされ、謎を解き明かす中で現れたのは、その選挙資金の不信な流れ、それは現役の大統領リチャード・M・ニクソンのものだった。
 そして侵入事件の全貌が次第に明らかになるにつれ、2人が火を付けた報道が緒端となって世論を動き始めるー。

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写真:Photononstop/アフロ

 米国大統領案件とは、権力と闘うジャーナリズムの手本のような映画だが、一記者であるボブ・ウッドワードにとって最大の武器が“ディープスロート”と呼ばれる姿を見せない男からのリーク情報だったことに注目したい。
(ディープスロートの正体は驚いたことにFBIのナンバー2、副長官のマーク・フェルトだったことが後年、本人の告白によってわかっている)
 この内部情報のマスコミへのリークこそ、権力者を葬る必殺技。これは70年代の昔から現代に至るまで有効で、情報化社会となった昨今ではインターネットを通じて情報は簡単に大量に漏えいする恐れがある。権力側からすればリークの恐怖は高まっているのだ。
(続く)

【ストーリー】
ウォーターゲート事件の知られざる真相を暴き、ニクソン大統領を失脚に導いたワシントン・ポスト紙の記者カール・バーンスタインとボブ・ウッドワードの回顧録を映画化した社会派サスペンスドラマ。1972年6月、ワシントンD.C.のウォーターゲートビルにある民主党本部に不審な5人組が侵入し、逮捕される。ワシントン・ポスト紙の新米記者ウッドワードは裁判を取材し、当初は単なる窃盗目的と思われた犯人たちの裏に何か大きな存在をかぎとる。先輩記者のバーンスタインと組んで事件の調査にあたることになったウッドワードは、情報提供者ディープ・スロートの助言や編集主幹ブラッドリーの後ろ盾を得て徐々に真相に迫るが……。第49回アカデミー賞で作品賞をはじめ計8部門にノミネート。ブラッドリーを演じたジェイソン・ロバーズの助演男優賞ほか計4部門を受賞した。

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