<見た目が全く同じ映画>特集②『ドッペルゲンガー』

 

見た目が全く同じ!映画特集②

今週末に公開される映画『ジェミニマン』は凄腕の暗殺者が<若き日の自分>に命を狙われるというSF映画。主演ウィル・スミスが1人で2役を演じていること、監督がアカデミー賞監督賞を2回受賞したアン・リーであることで話題になっている。そんな『ジェミニマン』公開に併せて今週の「今夜なに観る?」コーナーでは「見た目が全く同じ!」映画を特集します!

『ドッペルゲンガー』(2003年)

●自分が2人存在するという奇妙さ

自分とまったく瓜二つの存在で、それと遭遇すると死んでしまうと言われている現象が「ドッペルゲンガー」だ。昔から報告例が後を絶たず、様々な作品の題材として使われており、もはやお馴染みの存在といっても過言ではないだろう。黒沢清監督が手掛けた本作は、そんなドッペルゲンガー現象をユーモラスに描きつつ、サスペンス映画としても面白い作品に仕上がっている。

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【ストーリー】
早崎道夫(役所広司)は、医療機器メーカー、メディカル・サイテック社のエリート研究者。彼は10年前に開発した血圧計が大ヒットしたことで、次の開発へ向けて周囲から期待を寄せられている。だが、今では助手と共に人工人体の開発を続けるもはかどらず、上司からもたびたび進捗状況を問われ、ストレスを募らせていた。そんなある日、スランプ状態に陥る早崎の前に突然、彼に瓜二つの外見を持つ分身“ドッペルゲンガー”が出現した。そして、早崎が必死にその存在を否定する中、分身は彼に協力するために現われたと告げるのだった…。

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そもそもドッペルゲンガーとは医学的には「自己幻像視」と言われている。自分の動きをマネする、いわゆる鏡像であって独自の意図やアイデンティティを持たないとされている。ただし稀な例としてアイデンティティを持ったもう一人の自己と相互交流することがあるそうだ。ドッペルゲンガーと言うことについて説明しだすとキリがないのでこれ以上は説明しないが、要するに“幻”の域を出ない存在なのだ。しかし、本作ではそんなドッペルゲンガーが自分自身の仕事に協力しようと申し出て、2人で協力しながら仕事をするのだ。

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自分が2人いたら仕事の速度が2倍上がるのに、なんて妄想を良くしたことがあるが、本作ではそれが現実になっている。実際に本作の主人公早崎のプロジェクトもそのドッペルゲンガーのおかげで順調に進んだ。一方でそれは自分という絶対的な存在が揺らぐ瞬間でもある。もしそのドッペルゲンガーが自分より優秀だったら?自分よりも世渡りが上手で人気があったら?自分という絶対的な存在が奪われそうになった時は、人は何をするか分からない。本作の早崎はそれを如実に表している。

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本作が非常に秀逸なのはドッペルゲンガーを自分にとって都合が良い“分身”としての存在と、自分のアイデンティティを奪いかねない“邪魔者”の2つの側面で描いているところだろう。ここは監督と脚本を務めた黒沢清氏のさすがの演出だ。ドッペルゲンガーと言う存在をユーモラスに描きながらも、その中に人間と言う生物が持つ怖さも描いている。

ドッペルゲンガーと言う題材はそのミステリー性からこれまで多くの作品が生み出されてきた。それは邦画用が問わずであり、本作もそうした作品の一つだ。使い古された題材に思えるかもしれないが、最近では「アス」が素晴らしい評価を得ている。ドッペルゲンガー映画の可能性はまだまだ大きいということだ。

 

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『ドッペルゲンガー』(2000年)
監督:黒沢清
キャスト:役所広司、永作博美、ユースケ・サンタマリア、柄本明、佐藤仁美 ほか

 

 

 

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